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脱気水による瓶洗浄でクラフトビールの賞味期限を延長できました!【脱気システム活用術/やってみた③】



こんにちは、営業部のTZです。


弊社の脱気システム「Livalley」は従来、半導体・電子部品業界のお客様に多くお使いいただいておりましたが、“溶存酸素濃度を下げる“というのは食品、飲料の品質向上にも役立つことをご存知でしたか?


今回はあるクラフトビールメーカー様と実施した、“瓶洗浄の水道水から酸素を"脱気"して、瓶づめの酸化リスクの低減検証デモ“をしてみましたので、“脱気システム使ってみましたシリーズ“ 第3弾として、その効果についてご紹介していきます。



「クラフトビール」の品質管理の重要性

「クラフトビール」とは、小規模な醸造所(ブルワリー)で製造される多様性、個性のあるビールです。「地ビール」もクラフトビールと同じような意味で使われています。


クラフトビールには大手のビールメーカーが製造するビールにはない、独特の香り、コク、味わいに魅力があります。一方、小規模なだけに、製造コストを極力抑え、限られたリソースの中でしっかりとした品質管理に取り組まなくてはなりません。




従来の瓶洗浄、乾燥工程

クラフトビールを瓶に充填する前に、瓶の洗浄、自然乾燥の工程があります。


従来の工程では、洗瓶機による洗浄後、瓶の内部に残っている水分を乾燥させるため、自然乾燥を行っています。瓶の中に水分が残った状態でビールの充填を行うと、洗浄水の中に溶け込んでいる溶存酸素成分により、風味が落ちる原因となるそうです。


また、自然乾燥工程中に、虫などの異物が瓶の中に入り込むことがあり、品質上のリスクがあります。クレームが発生すると回収を余儀なくされることになり、信用も失いかねません。特に食品や飲料においては品質に細心の注意を払う必要があります。


このような課題の解決策として、脱気水を瓶洗浄工程に応用することで、洗浄水中の溶存酸素による風味の劣化を防ぎ、かつ乾燥工程を省き、水洗直後にビールの充填を行うことで異物が入り込む余地をなくすことができるのではないか、と考えられます。



ビールの味わいに重要な役割を果たしている苦み成分「イソフムロン」

クラフトビールの品質に大きく影響する苦み成分。この苦み成分は、ビールの原料のホップに由来する「イソフムロン」という物質です。


ビール中のイソフムロンの濃度は、数10ppmとごくわずかであるにもかかわらず、キレの良い苦み、泡立ちの良さにおいては、このイソフムロンが圧倒的な役割を果たしているそうです。そして、瓶詰後、イソフムロンの酸性変性により、本来の苦みが損なわれるそうです。


また、イソフムロンは400~500nmの波長の光によっても変性してしまうため、品質保護のために褐色、暗緑色の瓶が用いられています。微量ながら、風味や泡立ちに大きく影響するイソフムロンを、酸化や光によって劣化させない品質管理が重要であることが分かります。


参考文献はこちら



分光光度分析によるクラフトビールの品質変化を観察

今回、弊社の脱気システムの評価を行っていただいた妻有ビール様からのご依頼により、分光光度分析によるビールの品質に関係するピークの経時変化について考察しました。




グラフ1



表1に結果をまとめてみました。

表1


① 活性酸素の増加

226nm付近のピークの増加は、酸素がビールの成分と反応して活性酸素を生成していると考えられます。


②    ホップ由来の苦み成分の減少

267nm近傍のピークの減少は、苦み成分であるイソフムロンの減少を示唆しています。


③    抗酸化作用の低下

325nm近傍のピークの減少は、抗酸化作用を持つ成分であるNADH補酵素の減少を示唆しています。



クラフトビールの賞味期限を1か月延長することに成功

瓶の洗浄に使用する洗浄水を、溶存酸素を95%除去した脱気水に置き換えることで、洗瓶後すぐにビールを充填しても酸化の影響を受けなくなったことにより、従来の賞味期間2か月から、さらに1か月間延長でき、風味の劣化が発生しない、品質のよいビールを楽しむことができるようになりました。


今回のクラフトビールの成分分析から、ごく微量含まれる香味や泡立ち成分を、酸化から守る品質管理の大切さを垣間見ることができました。




ビール瓶の洗浄水の脱気以外にも色々な食品向けに脱気やってみました!

いかがでしたか?


ふだん何気なく飲んでいる、味わいのあるクラフトビールですが、こんな雑学を知っていると、ビール職人さんたちの味へのこだわりをより一層、敏感に感じられるようになるかもしれませんね!関連記事として、下記3つの記事も公開しておりますので、是非ご覧ください。


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