こんにちは、営業部のTZです。
この度、国内の某センサーメーカー様より、インジウムバンプ形成工程用途の300mmフェイスアップ式めっき装置のご注文を頂きました。
金属の中でも、金属と半導体の性質を持つインジウムは、半導体デバイスの材料として重要な役割を果たしており、先端半導体チップで使われる微細パターンへのはんだ材料の成膜に弊社のフェイスアップ式をご採用いただきました。
本ブログでは、インジウムの特徴とその用途についてご紹介いたします。
インジウムの低融点、柔軟性、そして驚くべき電気的性質
インジウムには以下のような特徴があります。
低融点:低い融点(156.7℃)を持ち、他の多くの金属よりも低温で融解します
柔軟性:低温域でも柔らかい性質を持っています。ガラスやセラミックスとの親和性が高く、良好な密着が得られます
電気的性質:化合物半導体としての性質も持ち、シリコンでは得られない優れた電気特性を示します
このような特徴を利用して、以下のような用途に使われています。
はんだ付け: インジウムおよびインジウム―スズ合金は、はんだ付けの材料として広く使用されています。特に、低温でのはんだ付けや、異種材料間のはんだ接合に適しています。
ディスプレイ技術: 液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの製造において、インジウムスズ酸化物(ITO)は透明導電膜として用いられます。これにより、画面の透明性と導電性を両立させることができるため、ディスプレイ上の配線として利用されています。
太陽電池: CIS(銅―インジウムーセレン)、CIGS(銅―インジウムーガリウムーセレン)化合物太陽電池の原料として知られています。
半導体デバイス: InP(りん化インジウム)、InN(窒化インジウム)などのインジウムを含む化合物半導体は、高周波通信デバイスや光デバイスに利用されます。
このように、インジウムのこれらの特性と用途は、様々な電子デバイス、再生可能エネルギー分野において、重要な役割を果たしているのです。
微細パターンにおけるインジウムめっきの革新的応用:低融点、柔軟性を兼ね備えたはんだ接合技術の可能性
半導体チップや電子部品をプリント基板に実装する工程では、チップの端子部分にはんだ材料を使用します。通常は、はんだボールをマウントしたり、はんだペーストをスクリーン印刷したりしますが、先端の半導体チップのように、端子間のピッチが数10µm~数μmと狭くなってくると、これらの方法では対応困難となります。
このような微細パターンへのはんだ材料の成膜に適しているのが電解めっきです。
実際、先端半導体チップの電極形成工程では、電解めっきによる銅(Cu)ピラーと呼ばれるマイクロバンプ形成方法が採用されています。
銅(Cu)ピラーバンプでは、銅/ニッケル/スズ-銀(Cu/Ni/Sn-Ag)の積層構造を電解めっきで形成しています。
インジウムも同様に、下地となる金属膜の上に、電解めっきで微細パターンの形成が可能です。インジウム用めっき液は、めっき液メーカー各社から市販されています。
複数のチップを重ねてはんだ接合する場合は、融点の異なるはんだ金属を使うことで、融点の高い順にはんだ付けを行うことで実装することができます。
インジウムは、スズよりもやや電気抵抗が低く、熱伝導率が高いという点においても、はんだとして適した材料といえます。
また、製造工程中の熱処理や、使用時のチップの発熱により、チップと樹脂基板など熱膨張係数の違いにより内部応力が発生します。はんだ接合部分に内部応力が集中すると、クラックが生じて断線する、という問題があります。
低融点かつ柔らかい金属であるインジウムを採用することで、過酷な環境下においても断線しにくい、信頼性の高い電子デバイス製品を実現することができます。
300mmウエハ用途インジウムバンプめっき装置を納入
今回、300mmウエハ用途のインジウムバンプめっき装置は過去に納入実績を持つSnAgはんだめっき用途のめっき装置と同機種となります。
バンプ形成工程では、ピッチが狭く、膜厚が薄くなるほど、膜厚の高さバラツキが歩留まりに大きく影響します。膜厚均一性に優れたフェイスアップ式めっき装置をご採用いただいたことで、大面積の端子数が多いセンサー製品においても、高い歩留りが期待されます。
お客様のニーズに適したインジウムやスズ系低融点はんだ材料を用いたマイクロバンプめっきプロセスといえば「東設」と覚えてください!
弊社では、お客様の様々なご要求に応じたの製作を行っております。めっき装置の導入をご検討の際は、ぜひ弊社にお声がけください。
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