AIインフラ投資で再評価されるめっき技術――HBM・HDD・先端パッケージングをつなぐ東設の技術領域
こんにちは、営業部のTZです。
aiインフラ投資で再評価されるめっき技術――hbm・hdd・先端パッケージングをつなぐ東設の技術領域東設は、ウエハ・基板向けの電解めっき装置を、先端電子デバイスの製造現場へ数多く納入してきました。
近年拡大する生成AIへの投資は、弊社のめっき装置ビジネスにも大きな影響を及ぼしています。
そこで本シリーズでは、市場の視点から、東設のめっき装置が果たす役割をご紹介します。
この記事では、生成AI投資がHBM、HDD(ハードディスクドライブ)、先端パッケージング、検査工程へ広がるなかで、東設のめっき装置が担う役割についてお届けします。ご参考になれば幸いです。
生成AIへの投資拡大を背景に、半導体産業は大きな転換期を迎えています。
注目されるのは、最先端ロジックチップだけではありません。
メモリ、ストレージ、先端パッケージング、さらに検査工程に至るまで、製造プロセスのさまざまな場面で「めっき」技術の重要性が高まっています。
本記事では、AIインフラ投資が生み出す需要の広がりを俯瞰します。
そのうえで、各工程の接点を支えるめっき技術の役割と、東設が保有する技術領域との関わりを解説します。
この記事のポイント
HBM、ニアラインHDD、先端パッケージングの各市場で、AI投資を背景とした需要が拡大しています。
めっきは、磁性薄膜、微細配線電極、プローブピンの形成を支える基盤技術です。
東設は、磁気デバイス用途の磁性薄膜めっき、微細配線電極形成用途の銅めっき、プローブピン形成用途のロジウムめっきで成長市場に対応します。
フェイスアップ式は、これらすべての用途に共通するめっき方式です。
AIメモリのスーパーサイクルとHBM4の量産
2026年は、広帯域メモリ(HBM)の第4世代である「HBM4」が、本格的な量産段階に入
る節目の年です。
SK hynix、Samsung、Micronの大手メモリメーカーは、HBM4の量産・出荷体制を整えています。NVIDIAのVera Rubinプラットフォーム向けに、SK hynixが前倒しで出荷を始めたとの報道もあります(GENZ TECH)。
3社による量産・出荷競争が本格化する一方で、需給はタイトな状態が続いています(Silicon Analysts)。
市場規模も急拡大する見通しです。
Micronは、HBM市場が2025年の約350億ドルから2028年には約1,000億ドル規模へ拡大し、年平均40%前後で成長するとの見方を示しています(Tech Times、Futurum)。
HBMは、従来のメモリサイクルとは異なる「スーパーサイクル」の起点にあります。
その影響は、後工程や周辺工程にも広がりつつあります。
ニアラインHDDの再評価
HBMの成長と並行して、レガシー技術と見なされがちだったHDDにも再び注目が集まっています。
生成AIの学習データや推論結果を保存するために、データセンターでは大容量ストレージの需要が急拡大しています。
その受け皿となるニアラインHDDでは、供給が需要に追いつかない状況が続いています。
独立系の価格追跡データによると、HDDの平均価格は2025年9月から2026年1月までの4か月間で約46%上昇しました。モデルによっては、23〜66%の上昇が確認されています(プライシー)。
Western Digitalについては、2026年分の生産枠がほぼ埋まり、2027〜2028年までの長期供給契約が積み上がっているとの報道もあります(Servnet)。
TrendForceは、2026年4〜6月期のニアラインHDD契約価格が前四半期比で約10%上昇したと伝えています。また、ハイパースケーラーが出荷量の約6割を占める状況でも、十分な供給を確保できていないと指摘しています(TrendForce)。
HDDは、もはや「過去の技術」ではありません。
AIインフラを支える現役の基幹部品として、あらためて評価されています。
先端パッケージング市場の拡大
半導体における価値創出の重心は、微細化を担う前工程から、チップを統合・接続する後工程へと移りつつあります。
チップレット、ファンアウトパッケージング、TSV(シリコン貫通電極)、RDL(再配線層)、マイクロバンプなど、複数チップを高密度に接続する技術への投資が加速しています。
市場規模の算定範囲は調査会社によって異なりますが、先端パッケージング市場は2026〜2035年にかけて、年平均7〜11%前後で成長するとの予測が共通しています。
Yole Groupは、2025年の550億ドル規模から2031年には1,200億ドル超へ拡大すると予測しています(Advanced Packaging Magazine)。複数の予測が、堅調な市場拡大を示しています。
国内でも、先端パッケージングへの投資が進んでいます。Rapidusは2026年2月に官民合計2,676億円の資金調達を完了しました。NEDOの2026年度計画では、チップレットやパッケージ設計・製造技術の開発も承認されています(Tom's Hardware)。
AI需要が生む二つの需要連鎖
AIインフラ投資は、単一の工程だけに影響するものではありません。大きく二つの需要系統を通じて、半導体関連の幅広い領域へ波及しています。
第一の系統は、AIアクセラレータの高性能化に連動する流れです。AIチップで求められる帯域幅の向上が、HBMの高積層化を促します。同時に、チップレットやファンアウトパッケージングなど、先端パッケージングの採用を後押しします。
さらに、複雑化するメモリを検査するために、プローブカードでは微細化・多ピン化が進みます。RDL、TSV、マイクロバンプの配線形成や、プローブカードの微細接点形成では、均一性と耐久性を両立する精密めっきが求められます。
第二の系統は、データセンターの容量需要に連動する流れです。AIデータの保存需要がニアラインHDDの逼迫を招き、磁気ヘッドの生産拡大を促しています。
同時に、AppleやTDKが進めるTMR(トンネル磁気抵抗)センサーの開発・量産でも、磁性膜の形成技術が求められます。HDDの磁気ヘッドとTMRセンサーをつなぐ技術軸が、磁性めっきです。
このように、めっきは特定の工程に閉じた技術ではありません。
AI需要連鎖の各接点を支える「つなぎ目の技術」として位置づけられます。
東設が対応する3つのめっき技術領域
東設は、AIインフラ投資による需要の接点に対応する、複数のめっき技術領域を保有しています。フェイスアップ式は、下記3つの用途すべてに共通するめっき方式です。基板の加工面を上に向けて処理することで、めっき液の流れや気泡の抜けを整え、膜厚の均一性を高めます。
磁気デバイス用途の磁性薄膜めっき:HDDの磁気ヘッド製造と、Apple・TDKなどが手がけるTMRセンサー製造の双方に関わる技術です。東設は、磁性薄膜の形成に関する技術知見を長年にわたり蓄積しています。
微細配線電極形成用途の銅めっき:先端パッケージングにおけるTSV、RDL、マイクロバンプの微細配線電極形成では、膜厚均一性が歩留まりを大きく左右します。銅めっきは、この配線形成を担う重要な技術です。
プローブピン形成用途の硬質金属めっき:メモリの高積層化・多ピン化に伴い、プローブカードのプローブピンには高い耐摩耗性と接触安定性が求められます。ロジウムめっきは、プローブピンの形成と耐久性向上に寄与します。
これら3つの用途別技術は、独立した技術の集合ではありません。AIインフラの需要連鎖に沿って配置された、相互に補完し合う技術群です。共通のフェイスアップ式を含めて横断的に対応できることは、工程ごとに変化する要求に対し、継続的な技術支援を行ううえでの強みになります。

今後の展望
HBM4の量産が進む2026年以降、AIインフラ投資は、メモリ、ストレージ、先端パッケージング、検査の各工程で、めっき技術への要求を一段と高めていくと考えられます。
東設が保有する磁性めっき、銅めっき、ロジウムめっきなどの薄膜形成技術は、いずれも電子デバイス製品の成長市場との接点を広げている技術領域です。
フェイスアップ式は、これらの用途に共通するめっき方式として、精度と均一性を支えます。
めっき装置は、AI時代の半導体製造において、各工程の「つなぎ目」を支える基盤技術として、重要性を増していきます。
本記事は、AI需要連鎖とめっき技術の関係を俯瞰する総論です。
各テーマの詳細は、以下の関連記事で順次ご紹介します。
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