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プローブカードとロジウム(Rh)めっき――メモリ高積層化が招くテスト工程の難度上昇

9月29日
読了時間: 7分

こんにちは、営業部のTZです。


東設は、ウエハ・基板向けの電解めっき装置を、先端電子デバイスの製造現場へ数多く納入してきました。


近年拡大する生成AIへの投資は、弊社のめっき装置ビジネスにも大きな影響を及ぼしています。そこで本シリーズでは、市場の視点から、東設のめっき装置が果たす役割をご紹介します。


この記事では、HBMの高積層化・多ピン化で重要性が増すプローブカードと、プローブピン形成用ロジウムめっきについてお届けします。ご参考になれば幸いです。


HBM4の量産が本格化する2026年、半導体製造のなかで、あらためて重要性が高まっている工程があります。それが、チップの動作を出荷前に確認する「テスト工程」です。


メモリが高積層化・多ピン化するほど、テストは難しくなります。本記事では、テスト工程で使われるプローブカードの市場動向と、その微細接点を支えるRh(ロジウム)めっきの役割を解説します。


本記事は、AI需要連鎖とめっき技術の関係を俯瞰する「総論編」から分岐した詳細記事です。


この記事のポイント

  • HBMの高積層化・多ピン化により、プローブカードの高精度化が進んでいます。

  • 垂直型MEMSプローブカードの普及により、微細接点の均一性がいっそう重要になります。

  • ロジウムめっきは、プローブピンの形成と、耐摩耗性・接触安定性の確保を支える重要な膜種です。

  • フェイスアップ式は、ロジウムめっきを含む各用途に共通するめっき方式です。


プローブカード市場の拡大

プローブカードは、ウェハ上のチップに電気信号を与え、良品・不良品を判定するための検査用部品です。半導体の高性能化と多ピン化が進むなか、その役割は年々大きくなっています。


市場規模の見方は調査会社ごとに異なりますが、いずれも堅調な成長を予測しています。

Mordor Intelligenceは、プローブカード市場が2026年の約27億ドルから2031年には約42億ドルに達し、年平均成長率(CAGR)9.3%で拡大すると予測しています(Mordor Intelligence)。


360iResearchを引用したGIIのレポートでは、2026年の約35億ドルから2032年には55億ドルへ、CAGR7.8%で成長すると見込まれています(GII)。


Business Research Insightsは、2026年の34億ドルから2035年には61億ドルへ、CAGR6.5%で拡大するとしています(Business Research Insights)。


Yole Groupの四半期モニターでも、2026年のプローブカード市場は30億ドルを超える見通しです。HBM向けのメモリテスト需要が成長の主な要因として挙げられています(Yole Group)。


複数の調査会社に共通するのは、AIの普及に伴うメモリの高積層化・多ピン化が、プローブカードの需要を押し上げているという点です。


カンチレバー型から垂直型MEMSへ

プローブカードの技術構成も変化しています。


従来の主流は、板ばね状のプローブ針を横方向に並べる「カンチレバー型」でした。量産性に優れる一方、ピッチの微細化には限界があります。


これに対し、先端ノードではピッチが60マイクロメートルを下回るケースが増えています。針を垂直に配置する「垂直型MEMS」は、こうした微細ピッチに対応できることから、主流技術になりつつあります(Mordor Intelligence)。


Mordor Intelligenceのデータでは、MEMS方式全体は2025年にプローブカード市場の約45%を占めました。なかでも垂直型MEMSはCAGR10.6%で成長しており、接点のばらつきを±5%に抑えられるとされています。カンチレバー型の±20%と比べると、接点の信頼性に大きな差が生じます。

メモリが複雑になるほど、より精密で、より均一な接触を実現できるプローブ構造が求められます。


HBM4の高積層化がテストを難しくする理由

HBM4では、DRAMチップを積み重ねる層数が増えています。Samsungは、12層構成で24〜36GB、16層構成で48GBの容量を実現できるとしています(Econ Market Research)。


JEDECは、HBMパッケージの高さ上限を従来の775マイクロメートルから1,000マイクロメートルへ緩和しました。これにより、バンプを残したまま16層まで積層する選択肢が開かれました(Digital Today)。


ただし、16層スタックの量産化は容易ではありません。


SamsungとSK hynixは、HBM4で当面ハイブリッドボンディングの導入を見送り、既存の熱圧着接合を継続する方針と報じられています。16層化の実現時期については、業界内でも見方が分かれています(鉅亨網)。


層数が増えるほど、チップ当たりの接点数とテストすべきピン数は増加します。メモリの複雑化に伴ってテスト工程の難度が上がる構造は、今後さらに強まると考えられます。


微細接点を支える精密めっき

プローブカードの微細接点、すなわちプローブ針には、大きく二つの技術要件があります。


一つは均一性です。数千から一万以上の接点が、均一な力と電気特性でチップに接触しなければなりません。


もう一つは耐久性です。プローブカードはウェハに繰り返し接触する消耗品であるため、使用を重ねても接触特性を維持する必要があります。


この二つの要件を支えるのが、精密めっき技術です。とくにプローブピン形成用途のロジウムめっきは、硬さと耐摩耗性に優れます。プローブピンの表面を保護し、長期にわたる接触安定性の維持に寄与します。


垂直型MEMSの普及に伴って接点はさらに微細化しており、めっきに求められる精度も高まっています。


プローブピンに使われる代表的なめっき膜種

プローブピンのめっきには、用途に応じて複数の金属膜種が使い分けられます。


一般的には、下地のニッケルめっきの上に、金、ロジウム、パラジウム系のめっきを重ねる構成が多く採用されています(めっきのひろば(三ツヤ))。


めっき膜種

主な役割

主な特徴

ニッケル(Ni)めっき

下地・バリア層

拡散防止と密着性向上に寄与します。比較的低コストで、無電解NiではHv600程度の硬さがあります。

金(Au)めっき

最表面・導電層

低接触抵抗、高導電性、耐酸化性に優れます。硬質金(Au-Co合金)ではHv150〜400程度で、微小信号に適します。

ロジウム(Rh)めっき

耐摩耗層・最表面

Hv800〜1000の高硬度と優れた耐食性を持ちます。繰り返し接触に強く、長寿命化に寄与します。ただし、膜が脆い点には注意が必要です。

パラジウム(Pd)めっき

金代替・導電層

非磁性で、Hv200〜250程度です。金より安価で低接触抵抗を得られますが、有機物によるポリマー生成には注意が必要です。

パラジウム-ニッケル(Pd-Ni)合金めっき

耐摩耗・導電層

Hv450程度で、耐摩耗性とコストのバランスに優れます。金代替として接点に広く採用されています。


上記の特徴は、各種めっき技術資料に基づく概算値です(OMS(めっき技術)、MISUMI-VONA)。


先端のプローブカードでは、これらを組み合わせた多層構造が主流です。例えば「Ni(バリア)→Rh(硬質中間層)→Au(導電表面)」という積層構成は、硬さ、導電性、耐摩耗性を両立する設計として知られています(ProPlate、PTR HARTMANN)。


プローブピンのめっきは、単一の膜種で完結するものではありません。各層の役割を分担させることで、接触信頼性と耐久性を両立させます。なかでもロジウムめっきは、高硬度と耐食性によって、繰り返し接触に対する耐久性を担う重要な膜種です。


なお、プローブカードの製造・組立工程では、接触面の膜種以外にも以下の金属が使われます。ただし、これらは接点表面ではなく、別の役割を担います。


  • 銅(Cu):下地・構造形成層として使われます。MEMSプローブの構造体を電気めっきで形成する素材や、配線のシード層として用いられます。酸化しやすく接触抵抗が不安定になるため、接触面には使われません。


  • スズ系はんだ合金:プローブカード基板の実装・接合工程で使われます。はんだ付け性に優れる一方、Snは非常に軟らかく、繰り返し接触に耐えにくいため、接触面には使われません。


つまり、接触面に求められる高硬度、耐摩耗性、低接触抵抗を満たすのは、Ni、Au、Rh、Pd系の膜種です。CuやSn系はんだ合金は、それらを支える製造工程の材料として位置づけられます。



東設の対応力

東設は、プローブカードのプローブピン形成用途に、ロジウムめっきの対応力を有しています。


フェイスアップ式は、ロジウムめっきを含む各用途に共通するめっき方式です。基板の加工面を上に向けて処理し、めっき液の流れや気泡の抜けを整えることで、膜厚の均一性を支えます。東設はこの共通方式を通じて、微細化・多ピン化が進む検査工程を、めっき技術の面から継続的に支援します。


プローブカードメーカーや半導体テストハウスなど、具体的な技術課題を抱えるお客さまにとって、東設のめっき装置は実効性のある選択肢となります。




まとめ

HBM4の量産が進む2026年以降、メモリの高積層化・多ピン化は、プローブカード市場を拡大させます。同時に、微細接点を支える精密めっきへの要求も高めていきます。


東設のプローブピン形成用途のロジウムめっきは、この成長するテスト工程が抱える技術課題に対応する技術です。


フェイスアップ式は、この用途を含む全用途に共通するめっき方式として、精度と均一性を支えます。AI需要連鎖の全体像については、ぜひ「総論編」もご覧ください。


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